【その2】女性デジタル人材育成プラン ~真の男女平等とは・海外の事例~

2022-08-09

【その2】女性デジタル人材育成プラン ~真の男女平等とは・海外の事例~

前回の記事で、内閣府が掲げる「女性デジタル人材育成プラン」の内容をお伝えし、日本国内で取り組まれている事例を紹介しました。

日本では、子育てや介護などで時間的制約がある女性や、コロナ渦で就業の困難にある女性を支援する仕組みが多い印象でした。

一方で中高生の性別による進路選択をなるべく無くす取り組みは民間企業が担っている場合が多く、中々自治体や国単位での対策がなされていないことがわかりました。

この記事では、海外の職業選択の男女比と、様々な取り組みを紹介していきます。

先進国ほど理数分野での女性比率が低い

ユネスコの「科学白書2017年版」によると、多くの国での大学進学の男女比率は同じか、女子の方が多いという結果が出ています。

しかし、経済協力開発機構(OECD)が公表した、大学などの高等教育機関に入学した学生のうちSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に占める女性の割合は、先進国であるカナダ、ドイツ、アメリカで19%、フィンランドでは22%、さらに日本はわずか5%でOECD加盟国中、最下位でした。

対して新興国と呼ばれる国々ではベトナム、UAE、コスタリカで31%、マレーシアで50%オマーンでは53%と比較的高い割合を占めました。

これらの国々では、男女平等指数が低いため、女性が自立するために選んでいるということの表れでもあります。

つまり、職業選択の自由が保障されている国こそ、女性の理数進学率が低いのです。

女性は理数に弱いのか?

答えはNOです。子どもの算数・数学と理科の学力を国際的な尺度で測る国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の報告書によると、日本の数学の平均点は、どの年齢でも男女ともにほとんど差がなく、「統計的に有意な差はない」と結論付けられています。

しかし、ベネッセが行った調査では、「算数(数学)の考え方や解き方を、『素晴らしい』『不思議』と感じる」割合では、小学生では男子72.9%、女子71.1%と、男女差はほとんど見られなかったのですが、高校生になると男子63.6%、女子50.3%と、10ポイント以上も差がでました。

更に「算数(数学)は男子の方が向いていると考える」割合は小学生では男子36.3%、女子が20.5%だったのに対し、高校生は男子21.6%、女子32.7%と、年齢が高くなるにつれ、女子生徒が数学は男性の分野だと考える傾向が強くなることが分かりました。

また、共学と女子校では、理系選択をする割合が女子校の方が高い結果が出ています。

これらの結果から考察すると、日本の子供たちは学校や家庭環境で知らず知らずのうちにジェンダーバイアスが刷り込まれ、理系=男性という方程式が成り立ってしまっているのだと思います。これは、本当の意味での職業選択の自由なのでしょうか。

これは女性だけではなく、男性にも言えることです。男子の保護者の方が、将来有望な理系職に就くことを期待している傾向があるため、男子の得意な科目選択・なりたい職業選択の妨げになっている可能性もあります。

STEM分野の男女比率均衡化は必要不可欠

その理由は、大きく分けてふたつあります。

一つ目は、AIやロボットの発達により、単純労働の機会がどんどん少なくなっていること。

非正規雇用の割合が女性は多く、そのようなミドルスキルの一端を担ってきたのも女性です。コロナで露呈したように、そのような労働は今後もっと少なくなることが懸念されることから、多くの女性が知識労働者になることが必要不可欠です。

二つ目は、より良い科学的・技術的発展のため。

アメリカでは1997年〜 2000年の間に10種うち8品目の医薬品が、男性よりも女性の方が健康リスクが顕著であるとして市場から取り下げられました。これは、女性の治験を十分に行っていなかったことで起こりました。医療以外でも、自動車のシートベルトが、女性や妊婦が装着することを想定して設計されていなかったことによって、安全性に大きな差が出てしまったことなどもありました。

また、その影響はAIの分析結果にも及びます。例えばGoogleなどの検索エンジンで検索する際、ジェンダーバイアスがかかった結果が表示されたり、顔認証プログラムの正確性に男女差が生まれたりと、過去の無意識が今弊害になっていることがあります。インターネットやAIの結果は様々な分野で活用されているので、そういったツール内のジェンダーバイアスを限りなくゼロにしていくことが求められます。

多様な担い手の参加によって、様々な視点からのアプローチが可能になり、固定観念をなるべく排除した、より精密で正確な研究を行うことができます。これは将来のジェンダー格差を小さくすることにも繋がります。

海外の取り組み

ドイツ

ドイツでは、年に一度「Girls’ Day」が開催されます。「Girls’ Day」とは、小学5年生以上の女子生徒を対象とした職場体験事業で、実際に私も中学1年生の時に参加しました。

この事業が日本の職場体験とすこし違うところは、職業体験の分野を男性が大半の職種に絞っていることです。

大手企業も参加し、実際にその企業で体験を行った生徒が将来就職することもよくあるようで、女子生徒にも企業にとっても良い催しです。

私は富士通で体験をさせてもらったのですが、パソコンの組み立てやAIの仕組み、さらには商品開発の意見交換に参加させてもらい、社員の方に褒められて嬉しかったのを覚えています。ガラス張りの綺麗なオフィスで、ここで働きたい!と騒いでいた子もいました。

似たような取り組みはドイツ以外でも世界20カ国ほどで行われているそうです。

アメリカ

アメリカにはSWE(Society of Women Engineers)という機関があります。ここは、理系学部に所属する優秀な女子学生に奨学金を渡したり、卒業した女子学生にキャリア支援などを行っています。理系職に就きたい女性を70年にわたって支援してきた実績があり,

名だたる大企業と提携したセミナーを積極的に開いています。

イギリス

2018年にイギリスで始まったSTEMwomenは、その名の通りSTEM分野の職に就きたい女性の支援を行っています。今ではイギリス国内のみならず、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドまで活動の拠点を広げました。STEMWomenは、主に大学と企業を結び、優秀な女子学生と企業のマッチングの役割を果たしています。

おわりに

今回、この記事を書くにあたってたくさんのリサーチをしました。そこで感じたのは日本国内でもたくさんの企業が立ち上がり、現状を変えようと努力しているということ。私が挙げたのはほんの一部にすぎませんが、みなさんが普段耳にするような大企業も、理系の女子学生へ奨学金を渡したり、社内の採用方法や昇進基準を変えたりしています。

しかし、いくら国や企業が尽力しても、私たちが潜在的に持っているジェンダーステレオタイプを取り除かなければ、道は遠のくばかりです。

私たちが無意識に持っている固定概念が、様々な弊害を生み、まわりまわって自分の不利益になる可能性もあるのです。なのでまず、周りのこどもたちに「女らしさ」「男らしさ」を求めるのを辞めるところからはじめてみませんか?

参考資料:

自然科学、医学、工学における ジェンダード・イノベーション

日本の高等教育と科学技術におけるジェンダー政策

世界のIT人材事情–女性の活用

JICA STEM 教育への女子の参加促進に向けて

ベネッセ「女子は文系、男子は理系」の意識はいつごろ生まれる?

日本の女子学生の理系割合はOECD最低水準。ジェンダーギャップ解消の鍵とは?

理工学分野における ジェンダーバランスの現状と課題

カテゴリー:ドイツからの留学生紗羅のインターンレポート

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